メガネレンズは「ガラスレンズ素材」と「プラスチックレンズ素材」に分けられます。

以前はガラスレンズが主流でしたが、現在は約90%の人がプラスチックレンズを使用しています。

しかし、全てにおいてプラスチックレンズが良いわけではなく、ガラスレンズにも「傷が付きにくい」「レンズ表面が劣化しにくい」「レンズ厚が薄くなる」などのメリットがあります。

使用される方のレンズ度数や年齢、使用環境や要望により、プラスチックレンズとガラスレンズのメリットやデメリットを考慮したうえで、レンズ選択を行うことが大切です。

ガラスレンズのプラスチックレンズ メリットとデメリット

代表的なメリットとデメリットです。
プラスチックレンズ                           
 【メリット】                              
 ・軽い                                 
 ・落としても割れにくい(※ガラスと比べると)              
 ・選択できる種類が多い                         
 ・希望の着色が可能(※制作範囲内)                  
 【デメリット】                            
 ・傷が付きやすい                           
 ・レンズ表面のコーティングが劣化しやすい                
 ・レンズが厚くなる(※ガラスと比べると)
 ・熱に弱い
 ・無色レンズに色が付く(経年変化)

ガラスレンズ
 【メリット】
 ・傷が付きにくい
 ・コーティングの劣化が起きにくい
 ・熱や埃などに強い
 ・レンズが薄くなる
 【デメリット】
 ・重量が重くなる
 ・落としたり外圧によりレンズが割れやすい(※プラスチックと比べると)
 ・制作されているレンズの種類が年々狭まっている
 ・着色濃度が決まっている


使用される方が何を希望されるかによって選ぶ素材が違ってきます。
例えば子供用メガネでは、転倒時にレンズが割れることなどを考慮するとプラスチックレンズが良いでしょう。
高齢者にも同じことが言えます。
また、熱を多く使う調理場や粉塵が舞う環境では、傷が入りにくく、レンズ表面が硬いガラスレンズが有効です。
度数が強い方でお風呂に入るのもメガネが必要な方の場合、特に温泉などではガラスレンズが良いでしょう。
ただしメガネを落とさない注意は必要です。

夏場、車内にメガネを放置した場合、コーティングがひび割れしたようになります。プラスチックレンズは60℃以上の高温になると、レンズ素材が急に膨張するため、レンズ表面のコーティングにひび割れが発生しやすくなります。
プラスチックレンズでも割れることがありますので、取り扱いには注意をお願いします。ヒビ割れや傷はその部分を研磨することは出来ませんので、レンズの交換が必要となります。
細かな傷やコーティング剥げは、見え方に影響を及ぼします。特に小児の治療用メガネの場合は特に注意が必要です。視力矯正に影響を及ぼすと思われる場合はレンズの交換が必要です。
プラスチックレンズは長く使用していると、無色のレンズに色が付いたようになります。また、染色したレンズは色が脱色してしまいます。これは経年変化により発生します。片眼だけレンズの交換する時にはレンズの色にご注意ください

レンズを選ぶ際には、使用環境や希望される要素などを教えていただければ、最適とされる素材をご提示させて頂きます。

レンズの種類について 遠近両用レンズやプリズムレンズ・遮光レンズなど

メガネレンズには「単焦点レンズ」「二重焦点レンズ」「累進多焦点レンズ」などがあります。
「単焦点レンズ」は遠く専用メガネや老眼鏡などに用いられれるレンズです。
では二重焦点レンズや累進多焦点レンズはどんなレンズでしょうか?

累進多焦点レンズ
現在一般的に遠近両用レンズといえば、このレンズが主流となっています。このレンズは1枚のレンズの中に遠くから近くまで徐々に度数が変化するように設計されたレンズです。このレンズは視線の位置により見え方が変化し、像の歪みやピントを合わせる時の視線移動などに慣れが必要なレンズです。また加入度数が強くなると歩行時の違和感も強くなります。必ず装用テストを行い、目線の移動方法、見え方の確認、歩行時の違和感などの有無を確認する必要があります。

二重焦点レンズ
累進多焦点レンズが発売される前に主流だったレンズです。このレンズはバイフォーカルレンズと呼ばれ、遠くと近くの2つの距離に焦点が合うよう設計されたレンズです。累進多焦点レンズに比べレンズ周辺部の歪みが無く、横方向の視線移動に違和感が感じられないメリットがあります。
このタイプのレンズに慣れた方が、累進多焦点レンズに変える場合は見え方や装用感が大きく違うため特に注意が必要です。

現在主流となっている累進多焦点レンズについてもう少しお話しします。

累進多焦点レンズにて自覚する不定愁訴の中に、「揺れ」と「歪み」があります。
「歪み」は度数変化にて発生する非点収差によるもので、レンズの設計や度数の変化により軽減します。
しかし「揺れ」は顔を横に振ったときに感じる感覚です。これは脳が感じる症状のため、レンズの設計や度数変更にて多少改善しますが、根本的には感覚に慣れるしか方法はありません。この歪みを感じやすい体質の方は、どうしても累進多焦点レンズを使用することが出来ない場合が見受けられます。

累進多焦点レンズの設計には、外面累進設計と内面累進設計の2つがあります。
累進面(度数が変化する場所)がレンズの外側(目から遠いレンズの面)にあるのが外面累進で、レンズの内側(目から近いレンズの面)にあるのが内面累進です。
外面累進設計は、遠くと近くを見るときに眼球の上下運動が行いやすいが、非点収差の影響を受けやすく歪みを感じやすいという特徴があります。
内面累進設計は、歪みが感じにくく横方向への視野を広く感じるが、上下方向に関しては大きな視線移動が必要となります。(※歪みの感じ方は色々な要素により変化します)

内面累進設計のレンズには、両面累進、両面複合累進などもあります。
両面累進レンズ
累進面をレンズの前面と後面に設計したことにより、歪みがより少なく、視野はさらに広くなります。

両面複合累進レンズ
両面累進レンズより、歪みを感じにくく、横方向への視野が広く感じられる。また上下方向への視線移動が楽に行うことが出来ます。しかし累進多焦点レンズの中では高価なレンズとなります。

レンズは高価なレンズほど良いわけではありません。使用される方の年齢、度数(特に加入度数)、屈折系統、フレームのサイズ、感覚の敏感などにより違いが出てきます。

プリズムレンズ

プリズムレンズは斜視の治療や複視(物が二重に見える)の改善などに使用されるレンズです。
当店で検査した方で、通常の視力検査では検出できない見え方のズレをプリズムにて改善した方が多くおられます。
「何となくピントが合わない・・・」という方はご相談ください。より詳しい検査をさせていただきます。
また大型免許に必須の深視力も、プリズムレンズにて改善することがあります。

プリズムレンズの特徴として、1枚のレンズに厚さの差が大きいレンズです。写真の厚い方を基底(Base)と呼び、薄い方を頂点(Apex)と呼びます。内斜視や外斜視などの違いにより、基底の方向が違ってきます。
メガネレンズに組み込みことが可能な度数は、3プリズムまでが多いのですが、当店は6プリズム~8プリズムまで取り扱っていますが、7プリズム以上は非常に高価なレンズとなってしまいます。
度数が強くなるほどレンズは厚くなり、色収差(色が滲んだように見える現象)が大きくなります。また歪みも強くなるため歩行時に違和感を自覚することが多いようです。

当店がプリズムレンズでお世話になっている【日本レンズ工業】のHPです。

プリズムレンズの中でも特殊なレンズシリーズ

遠近両用レンズにプリズムを組み込むときは、遠くの度数に3プリズムを入れると、自動的に近くの度数に3プリズムの効果が発生します。
しかし輻輳不全(両目を鼻側に打ち寄せ出来ない)などで、近くのみにプリズムを入れたくても入れることが出来ませんでした。
しかしCIFシリーズのレンズを使用することにより、遠くのプリズム度数と近くのプリズム度数を違う度数にすることが可能となりました。

遠くの度数には通常の遠視、近視、乱視の度数のみでプリズムは入れず、近くを見るエリアのみにプリズムが入るレンズです。
CIF-Sは遠用と近方視エリアに別々のプリズムが指定できるので、遠用メガネと近用メガネを1つで作製できます。
ただし、遠方視エリアと近方視エリアの境目で歪みが大きくなっています。
この歪みが気になる方はCIFレンズのご使用は避けてください。
当店にはテストレンズを常備していますので、お試しすることが可能です。

CIFシリーズのことをもっと詳しく知りたい方は【伊藤光学株式会社】のHPを参照してください。